第35章 大損失

「一体何がしたいんだ?」

「皆さん、落ち着いてください」葛生は笑い続け、目の奥には血なまぐさい殺気が宿っていた。「ボスが言ってました。さっきの女性の髪の毛一本でも失われたら、皆さんは刑務所で余生を過ごすことになりますよ」

仲裁に入ろうとした山田林は転んでしまい、しばらく立ち直れなかったが、男の言葉を聞いて安心した。

出雲七にも後ろ盾がいるということで、彼は安心した。あの悪党どもは手段を選ばない残虐な連中だ。

出雲七が本当に彼らの手に落ちたら、死なないまでも皮一枚剥がされる程度では済まないだろう。

「安藤監督」葛生は山田林の前に立ち「我々のボスが、投資の件でお話したいことがあるそうですが、ご興味はありますか?」

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車の中で。

安美は車の座席に寄りかかり、動悸を押さえながら大きく息を吐いた。