第34章 面子を立てる

「条件を出すだと!」田中社長は机を叩いて立ち上がり、彼女の鼻先を指差した。「脚本家風情が俺たちに条件を出すとは何様のつもりだ。いい気になってんじゃねえぞ?」

「この脚本は、お前の気分で売らないなんて言えると思ってるのか?」立山プロデューサーはその場で激怒し、直接脅し始めた。「出雲先生、私たちの顔を立てて、大人しく著作権を売ってくれないか」

「皆さんがそこまで誠意がないのなら、これ以上話し合う必要もありませんね」水野日幸は冷ややかな目で嘲笑った。「私の著作権は腐らせてでも、あなたたちには売りません」

「出雲七、お前が芸能界で生きていきたいなら、そんなに傲慢な態度は取らない方がいいぞ!」立山プロデューサーの目は凶暴な色を帯びていた。

水野日幸は彼を一瞥し、嘲笑うように安美に言った。「行きましょう」

安美の目は星が輝くようで、心配と恐れを感じながらも、思わず水野若社長に拍手を送りたくなった。マジでかっこよすぎる、超イケてる!

彼女は決めた。これからは水野若社長が彼女のアイドルだ!

「行かせると思うか?」田中社長は立ち上がって彼女に近づき、セクハラ目的で手を伸ばした。

水野日幸は素早く動き、振り向きざまに彼を蹴り飛ばした。「皆さん、商売は成立しなくても礼儀は守りましょう。大人なのですから、暴力は良くありませんよ」

田中社長は蹴られて飛ばされ、ドンと食卓に叩きつけられた。悲鳴を上げ、目を血走らせて叫んだ。「このクソ女め、ぶっ殺してやる!」

山田林はまさかこんな展開になるとは思わず、急いで仲裁に入った。「皆さん、皆さん、私の話を聞いてください。この件は…」

立山プロデューサーは怒りを抑えきれず、彼を平手打ちした。「消えろ!」

山田林は殴られて目の前が星になり、めまいがして何度も回転した。やっと止まった時には、現場は既に大乱闘になっていた。

水野日幸はあっという間に数人の大男たちを地面に這いつくばらせ、うめき声を上げて動けなくさせた。そして安美の手を引いて個室を出た。

「このクソ女め、覚えてろよ!」

田中社長の目は毒々しく、憎しみが渦巻いていた。

入り口の警備員たちがようやく駆けつけた。個室の防音が良すぎて、何も聞こえなかったのだ。

「追え!あのクソ女を追って、殺せ!」立山プロデューサーは警備員たちに怒鳴った。