第38章 とても美味しい幸せ

水野春智は娘の言葉を聞いて、未完成のマンションを賠償として受け取って以来、本当に娘の福に恵まれ、運気が上がり、何をしても順調だった。

一週間前、銀行が承認を渋っていたローンが通り、資金繰りの問題が解決した。

昨日は長らく停滞していた二つの大きな商談がまとまった。

今日はさらに郊外の土地を安値で競り落とすことができた。

嬉しい出来事が重なり気分も上々で、夜に帰宅する際、団地の入り口で妻と娘の大好物の焼き芋を買い、リビングの前で呼びかけた。「お母さん、日幸」

水野日幸は家に帰ってからというもの、リビングのソファで宿題や仕事をするのが好きで、顔を上げると目を輝かせた。「ママ、早く来て、パパが焼き芋買ってきたよ!」

水野春智は娘の向かいに座り、焼き芋をテーブルに置いた。