第49章 傲慢な思い込み

しかし、ステージ全体を通して、メイクとスタイリングに関しては、水野日幸の完璧さは、自身のスタイリストとメイクチームを連れてきた関口月よりも人々を魅了していた。

終演時、全てのダンサーと審査員、特別ゲストが一緒にステージに上がり、花束贈呈のセレモニーが行われた。

曽我時助は突然、自分が用意した花が花びらが散り、傷んでしまい、ボロボロになってしまって、とてもステージに持っていけるような状態ではないことに気づいた。

辻緒羽が艶やかなカサブランカの花束を抱えて彼の前を通り過ぎる際、一瞬立ち止まって尋ねた。「曽我時助、若菜に花を贈らないのか?」

曽我時助は足元の傷んだ花を見つめながら、歯を食いしばって命令した。「お前の花を俺によこせ。」

辻緒羽は軽蔑的な目つきで彼を横目で見て、冷ややかに嘲笑った。「俺が買った花を、なぜお前にやらなきゃならないんだ。曽我家の三男様でも、無理は通らないぞ。」

曽我時助は彼を睨みつけながら激しく言った。「辻緒羽、お前は若菜を喜ばせるために、わざと俺の花を台無しにしたんだろう!」

辻緒羽は病人を見るような目で見た。「お前、頭おかしいんじゃないのか?」

曽我時助は歯ぎしりしながら言った。「若菜はお前を見て喜ぶと思うのか、それとも俺を見て喜ぶと思うのか。花をよこせ。若菜にはお前が買った花だと伝えて、お前の印象を良くしてやる。」

「曽我家の人間は皆そんなに傲慢なのか?いや、厚かましいというべきか。」辻緒羽は嘲笑いながら言った。「その花が妹に贈るものだと、どうして分かるんだ。」

曽我時助は自信満々に警告した。「お前が水野日幸を追いかけているのは、一時の気まぐれに過ぎない。もし若菜の心を再び傷つけるなら、二度とチャンスは与えないぞ。」

辻緒羽は彼を見て唾を吐くように言った。「くそっ!」

そして足早に立ち去った。

曽我時助は彼の傲慢な後ろ姿を見つめ、目に暗い色が宿り、足元の花を激しく踏みつけた。

辻緒羽は美しく、少年らしい意気込みと傲慢な態度で、花を贈る人々の中で際立っていた。

曽我若菜は曽我時助が来ないのを見て、代わりに辻緒羽が深い愛情を込めた表情で自分の方向に歩いてくるのを見て、心の中で得意げになった。

やっぱりそうだと思った。辻緒羽が何年も執着して追いかけてきた自分を、そう簡単に諦めて水野日幸を追いかけるはずがない。