しかし、ステージ全体を通して、メイクとスタイリングに関しては、水野日幸の完璧さは、自身のスタイリストとメイクチームを連れてきた関口月よりも人々を魅了していた。
終演時、全てのダンサーと審査員、特別ゲストが一緒にステージに上がり、花束贈呈のセレモニーが行われた。
曽我時助は突然、自分が用意した花が花びらが散り、傷んでしまい、ボロボロになってしまって、とてもステージに持っていけるような状態ではないことに気づいた。
辻緒羽が艶やかなカサブランカの花束を抱えて彼の前を通り過ぎる際、一瞬立ち止まって尋ねた。「曽我時助、若菜に花を贈らないのか?」
曽我時助は足元の傷んだ花を見つめながら、歯を食いしばって命令した。「お前の花を俺によこせ。」
辻緒羽は軽蔑的な目つきで彼を横目で見て、冷ややかに嘲笑った。「俺が買った花を、なぜお前にやらなきゃならないんだ。曽我家の三男様でも、無理は通らないぞ。」