曽我時助は急いで救急箱を取り出して彼女の傷の手当てをした。「母さんはテレビ局の人と一緒に探してるから、二番目の兄さんはきっと大丈夫だよ」
曽我若菜は魂が抜けたように、か弱く無力に涙を流した。「三のお兄、私って役立たずですよね。お手伝いもできないし、迷惑ばかりかけて。私を送り返して、妹を呼び戻した方がいいんじゃないですか」
曽我時助は顔を引き締めた。「何を言ってるんだ。水野日幸なんかお前と比べものにならない。俺の心の中では、あいつはお前の髪の毛一本にも及ばないんだ」
曽我若菜は辛そうに涙を流した。「でも三のお兄、松原先生は水野日幸を内弟子にすると言ったんです。母さんと父さんは私のために何年も先生を訪ねたのに、私を受け入れてくれませんでした」
曽我時助は冷ややかに嘲笑した。「あの人は目が見えてないんだ。前から言ってるだろう。あのばばあは気取ってるだけさ。自分を俗世を離れた仙女だと思い込んで、他人を俗物扱いしてる。あの顔のしわの数も数えられないくせに」