第129章 インテリ悪党

雑誌のゴシップでは江川先生は冷たくて傲慢で、気難しくて付き合いにくい人だと言われていますが、どうやらそれは全部デタラメのようです。江川先生が付き合いにくいなら、この世に付き合いやすい人なんていないでしょう。

水野春智もすぐに戻ってきて、江川歌見が水野日幸の先生だと知ると、感動で目に涙を浮かべました。「江川先生、うちの日幸を見込んでいただき、ありがとうございます。日幸は頭が良くないかもしれませんが、頑張り屋なんです。どうぞよろしくお願いします。」

水野日幸は横で箸を噛みながら、ますます憂鬱な目つきで見ていました。誰が頭が良くないって？水野、嘘つかないでよ。

江川歌見は笑いながら言いました。「しっかり教えますから、水野兄と奥様は安心して彼女を任せてください。」

出雲絹代と水野春智は再び感謝の言葉を述べました。

水野日幸：……

夕食後、家族全員で江川歌見を家の玄関まで見送り、彼女の車が見えなくなってから家に戻りました。

水野春智は嬉しくて笑みが止まらず、愛情たっぷりに水野日幸の肩を叩きながら、満足げに言いました。「すごいぞ、うちの日幸は。江川先生のような素晴らしい方が、うちの日幸の師匠になってくれるなんて。」

出雲絹代も嬉しくて涙が出そうになり、娘に言い聞かせました。「日幸、これからは先生の言うことをしっかり聞くのよ。先生のことを私たちと同じように大切にしなさい。」

こんなに素晴らしい方が我が家の娘の師匠になってくれるなんて、うちの娘は本当にすごいわ。

「分かりました。」水野日幸は両親のこの感謝に満ちた様子を見て、反対の言葉など言えるはずもありませんでした。

ああ、かわいそうな私！

今や先生は両親の心の中で一番の存在になってしまい、娘である私は一時的に脇に追いやられてしまったわ。

出雲絹代と水野春智夫婦は家の中で片付けを始めました。

水野日幸はその隙に塀の上に登りました。

長谷川深はリビングの入り口に座り、膝の上にノートパソコンを置いてビデオ会議中でしたが、何かを感じたように顔を上げ、少女を見て微笑みました。

水野日幸は入り口に座る男性を見て、目が離せなくなりました。

今日の彼は、鼻の上にゴールドフレームの眼鏡をかけていて、より知的で優雅な印象を与え、笑うとさらに心を揺さぶられました。