大豆田秋白は自分だけでなく、特進クラスのみんなも呼んで一緒に見ていた。一度見るだけでは物足りず、大勢で賑やかに再度視聴し、ストーリーについて議論して、見落としていた細部を探っていた。
曽我若菜は後ろの熱気溢れる議論を聞きながら、目に暗い色を宿し、入り口に立つ曽我時助を見つけると、心配そうに慌てて優しく呼びかけた。「三のお兄」
大豆田秋白は声を聞いて、笑顔で声をかけた。「時助、早く来て一緒に見よう。これは絶世の名作だぞ。損はさせないから、絶対に後悔しないって保証する」
大豆田秋白に誘われてドラマを見ていた特進クラスの生徒たちは、曽我時助の険しい表情を見て、顔色を変え、一斉に散り散りになった。
曽我時助は怒りで目の前が真っ暗になりそうで、怒気が頭のてっぺんまで上がり、彼の前まで歩み寄って、歯を食いしばって詰問した。「大豆田秋白、わざとやってるだろう!」
まさか教室で公然と『笑江山』を流すのが、親友だとは思いもしなかった。
「時助」大豆田秋白は眉を少し上げ、諄々と笑いながら言った。「人生では教訓を得ることが大切だろう。長所を取り入れ短所を補うべきだ。なぜこのドラマが良いのか、次はもっと上手くできるように、チャンスを逃さないようにね。これも一つの勉強だと思えばいい!」
曽我時助はその場で爆発しそうになった。「まだ第一話だぞ。出だしが良くて後が悪いのか、その逆なのかなんて誰にもわからないだろう!」
結果が出るまでは、絶対に負けを認めるものか!
大豆田秋白は同情的な目で彼を見て、ため息をついた。「時助、人として自分を知ることが進歩への第一歩だ」
曽我時助は血を吐きそうになった。「お前、まだ俺の親友のつもりか?」
大豆田秋白は不思議そうに「どうしてドラマを見ることが親友の話に発展するんだ?時助、そこまでする必要ないだろう!」
曽我時助は歯の間から絞り出すように言った。「消すのか?それとも俺に壊させたいのか?」
大豆田秋白はまだ情けを持っていたので、パソコンを消して、家のボディーガードに持って行かせた。
水野日幸は彼らの会話を聞いて、笑いを堪えるのに必死だった。
大豆田秋白というずる賢い狐め、彼女には曽我時助を怒らせようとしているとしか思えなかった。
大豆田秋白がドラマを流すのを止めたと思ったら、今度は辻緒羽が破天荒にも特訓に参加してきた。