第127章 クズ同士の競い合い

曽我時助の顔は怒りで真っ黒になり、辻緒羽を殺してやりたいほどだった。彼は意図的に自分を刺激し、目の前で『笑江山』を何度も何度も再生していた。

水野日幸は笑いを抑えきれず、思わず辻緒羽に向かって親指を立てた。

辻緒羽は彼女に向かって眉を上げ、得意げに笑った。

水野日幸はこの日、とても機嫌が良かった。曽我家の者が不機嫌なことが、彼女にとって最高の喜びだったから。

大豆田秋白と辻緒羽の二人は、どちらがより意地悪かを競い合うかのように、曽我家の兄弟、特に曽我時助を内心傷つけていた。

午後最後のディベートが始まる前に、下校のチャイムが鳴った。

水野日幸は考えに考え、少し迷った後で決心し、携帯を取り出して兄に短信を送った。

【お兄ちゃん、私たちまだディベートがあるから、帰りが遅くなるわ。待たないでね。】

少し考えて、初めて彼に送るメッセージだから、簡潔明瞭な方がいいと思い、文字が多すぎると感じて削除し、もう一度打ち始めた。

【お兄ちゃん、先生が授業を延長したから、私】

「何してるの?」辻緒羽が突然後ろから声をかけ、彼女の肩を叩いた。

水野日幸は手が震え、メッセージが送信されてしまい、怒って犯人を睨みつけた。「辻緒羽!」

辻緒羽は口を広げて笑い、手を伸ばして携帯を奪おうとした。「そんなに秘密めいて、僕にも見せてよ。」

水野日幸は本を手に取り、彼に向かって投げつけながら、歯の間から一言絞り出した。「消えろ!」

辻緒羽は意気消沈し、彼女の携帯が一度振動するのを聞いた。再び目を上げると、いつもは冷たく孤高な少女が、携帯を手に何かを見て、こっそり笑みを浮かべているのが見えた。その甘い笑顔に目が眩むほどだった。

水野日幸は携帯の短信を見つめていた。

【お兄ちゃん:分かった。気をつけて。】

彼女は携帯を握りしめ、彼からのメッセージを何度も何度も読み返した。誰かに気づかれないように、頭を机の引き出しに突っ込んで、まるで小バカのように笑っていた。

大豆田秋白は辻緒羽を見て尋ねた。「彼女の彼氏?」

辻緒羽の目に冷たい色が宿り、歯の間から一言絞り出した。「消えろ!」

そう言うと、すぐに立ち去った。

大豆田秋白は興味なさそうに首を振って笑った。ただ一言言っただけなのに、なんでそんなに怒るんだろう?

水野日幸が家に帰ったときは、すでに夜の7時だった。