第169章 ゴロツキの常習

彼が広告時間を延長し、エピソード数を増やすことを決定した時点で、すでにコスモスエンタテインメントへの対策は練られていた。

「お茶は結構です」水野日幸は丁寧に微笑んだが、その目の奥には万里の氷のような冷たさが宿り、威圧的な雰囲気を漂わせながら、直接契約書を取り出した。「『笑江山』の昨日の編集について、柳原部長から説明をいただけますか」

柳原浪尾は自分たちに非があることを知っていたが、にこやかに官僚的な物言いを始めた。「御社がドラマの著作権を我々の放送局に売却した以上、我々には処理する権利があります。源社長にお伝えください。違約金は契約通りお支払いしますので、ご心配なく」

彼はコスモスエンタテインメントが粘り強く交渉してくるのを恐れていたが、若い女性を一人寄越しただけを見て、相手側もこの件をそれほど重要視していないことが分かった。

これが一番いい。お互い面子を潰さずに済む。ビジネスなのだから、利益が全てだ。儲かる話を断る者などいないだろう。

「私がお金のために来たとでも?」水野日幸は冷笑を浮かべ、声は小さいが威圧感は凄まじかった。「誰があなた方に私のドラマを勝手に編集する権利を与えたのですか」

柳原浪尾は彼女に驚かされたが、すぐに平静を取り戻した。「違約金が少ないとお考えですか?倍額にしましょうか?」

やはり、こういう小さな会社は欲深いものだ。少しの金で黙らせられる。案の定、金を要求しに来ただけだった。

『笑江山』の視聴率は群を抜いており、今批判があるのも、前半に比べて質が落ちただけのことだ。同時期のドラマと比べれば、まだまだ上回っている。

この地位に何十年もいる彼は、視聴者の批判が激しいほど、よく見ているということを知っていた。口では文句を言うだけで、見るのを止めることはない。

『笑江山』の視聴率さえ維持できれば、この十年、いやそれ以降も最も成功したドラマの一つとなるだろう。全権利を購入した彼らの放送局の利益は計り知れず、違約金など微々たるものだ。

「柳原部長、誤解なさらないでください。私が来たのは契約の履行を求めるためであって、違約金を要求するためではありません」水野日幸は嘲笑的な表情を浮かべた。「我が社が求めているのはお金ではなく、評判です。柳原部長のように、皆が利益だけを追求していると思わないでください」