第162章 プラスチックの兄弟愛

「おばさん、僕は大豆田秋白と申します。日幸の友達です」大豆田秋白は二つの袋を持って小走りで近づき、愛らしい笑顔を浮かべた。

辻緒羽は歯を食いしばり、彼を鋭く睨みつけた。

このやろう、年上の前でよく取り入ろうとするな。あの笑顔を見てると、顔を引き裂いてやりたくなる。

出雲絹代は友達だと聞いて、この子もなかなか愛らしいと思い、笑顔で頷きながら親切に声をかけた。「さあ、早く家に入りなさい」

大豆田秋白は後ろの車を指差して言った。「おばさん、焼き肉が苦手な人もいるかと思って、鍋の具材も買ってきたんです。ちょっと多くて、一人じゃ運べなくて」

出雲絹代が荷物を手伝おうとすると、辻緒羽を見て「緒羽、誰か手伝いに呼んできて」

辻緒羽は彼女を引き止めて、笑顔で「おばさん、お家に戻ってください。こんな小さなことは私たちでやりますから」

そう言って、大豆田秋白に警告するような鋭い視線を投げかけた。

このやろう、誰が友達だって?勝手に厚かましいことを言いやがって、日幸は同意してないだろ?

大豆田秋白は無邪気な笑顔で彼を見つめ、二つの大きな袋を辻緒羽に押し付けると、手を振って「林格史、君たち、ついてきて」

辻緒羽は目に怒りの炎を宿らせ、蹴り殺してやりたいと思った。本当に自分を子分扱いしやがって?

大豆田秋白は二、三歩歩いてから振り返り、唇を歪めて笑い、狐のような目に傲慢さと狡猾さを滲ませた。

辻緒羽は血を吐きそうになった。くそっ、このやろう、死にたいのか!

水野日幸と石田文乃たちは、みんな食材の片付けを手伝っていた!

「日幸、あいつどうしてここに来たんだ?」石田文乃は入り口の方を指差した。

水野日幸はどいつのことかと思って顔を上げると、大豆田秋白の笑みを含んだ狐のような目と目が合い、冷たい視線を投げかけながら冷ややかな声で「知るわけないでしょ」

大豆田秋白は笑顔で水野日幸に手を振って挨拶した。「日幸、鍋の具材買ってきたよ」

水野日幸は「出ていけ」という言葉が口まで出かかったところで、大豆田秋白というやつが既に出雲絹代の前に駆け寄って、お世辞を言い始めるのを見た。

大豆田秋白のこの野郎、一体何を企んでいるんだ。

曽我時助の仲間だと言えば、毎回曽我時助を血を吐くほど怒らせている。所詮は見せかけの友情だ。