第163章 顔値至上

石田文乃も横で同情的に辻緒羽を見つめ、思わず笑い声を漏らし、彼の肩を叩いた。「兄さん、諦めなよ。あの狡猾な奴には勝てないよ」

辻緒羽は彼女を鋭く睨みつけた。「お前は誰の味方だ?」

石田文乃は白い目を向けた。「顔値至上主義よ」

認めざるを得ないが、大豆田秋白のルックスは、彼らの緒羽様よりもちょっとだけ上だった。

辻緒羽は冷笑し、静かに焼き肉を焼いている一橋渓吾の方を見た。「じゃあ、なんで彼に行かないんだ?」

石田文乃も自然とその方向を見た。

遠くない場所で、穏やかで静かな少年が焼き肉台の前に立ち、完璧な横顔を彼女の方に向けていた。

少年全体から静かな時の流れが漂い、周りの賑やかな雰囲気とは少し不釣り合いだった。

「顔値至上主義だろ」辻緒羽は彼女を揶揄うように軽蔑した。