第206章 遊びに過ぎない

辻緒羽は色の名前を聞いて、表情が明るくなり、彼女に尋ねた。「色は病気が治ったの?」

石田文乃は「もう治ったわ」と答えた。

林格史は額に黒線を浮かべ、恋愛というものはこんなに複雑なのかと思った。彼には理解できなかった。

彼が知っているのは、以前の緒羽様が学校に行くのは、曽我若菜を追いかけるためだけで、それ以外の目的はなかったということだ。

彼は本当に緒羽様が彼女に深い愛情を持っていると思っていたのだ!

石田文乃はため息をつきながら言った。「緒羽様が若菜を追いかけたのは、黒田夜寒の機嫌を損ねるためだけよ」

彼はもう我慢できなかった。緒羽様に長年仕えてきたのに、何も知らなかったとは。緒羽様と黒田夜寒は仲が悪く、若菜を追いかけたのは彼の機嫌を損ねるためだったのだ。

緒羽様が誰かを追いかけるのは、その時の気分次第。今日は若菜を、明日は色を、明後日は他の誰かを追いかける。ただの遊びで、本気にはならない。