第204章 少しは良心がある

「彼女を守りたいというのなら」浅井長唄は安美の鎖骨の傷を指差して言った。「妹が受けた傷の二倍を、あなたが受けることで許してあげましょう。どう?」

黒田夜寒は眉を上げ、唇の端に笑みを浮かべた。「浅井お嬢様、その言葉は本当ですか?」

浅井長唄は「一度言った言葉は馬でも追いつけない」と答えた。

黒田夜寒は少し目を伏せ、曽我若菜に小声で言った。「私がいる限り、誰にもあなたを傷つけさせない」

水野日幸は安美の目に明らかな痛みが走るのを見て、ため息をついた。安美はどうしてこんな人でなしの黒田夜寒を好きになってしまったのだろう?

「寒兄、やめて」曽我若菜は弱々しい泣き声で、彼を強く押しのけた。「私が悪いの、全部私が悪いの。やるなら私がやります」

黒田夜寒は彼女の耳元に身を寄せ、明らかに親密な様子で優しく言った。「いい子だ、言うことを聞きなさい」