「あなたの好きな人は皆芸能界にいるでしょう。芸能界にはルックス抜群のイケメンや美女がたくさんいるのに、その世界に飛び込まないのは、まるで一つの世界を失うようなものじゃない?」と水野日幸は彼女に尋ねた。
石田文乃は激しく頷き、芸能界の美女やイケメンたちのことを思い浮かべ、興奮して水野日幸の手を握った。「その通りだと思う!どうして私、気づかなかったんだろう!」
「推しに近づく一番の方法は、自分も芸能人になって、好きなイケメンや美女と一緒にドラマや映画、バラエティ番組に出ることよ」と水野日幸は誘導し続けた。「考えてみて、藤田清輝と一緒にドラマを撮って、恋人役を演じるの」
石田文乃は興奮して叫んだ。「日幸、やる!何をすればいいか言ってくれたら何でもするわ。光輝兄とドラマを撮って、恋人役をやりたい!」
水野日幸は、推し事に夢中な女の子への対処法を心得ていると感じ、応募用紙を渡した。「これに記入すれば、センターポジションでデビューさせてあげる」
石田文乃は『国民アイドル』の応募用紙を見て、不思議そうに彼女を見た。「えっ、あなたが参加するんじゃなかったの?曽我若菜も参加するって聞いたけど、私は彼女に会いたくないわ」
水野日幸は「誰が彼女に会えって言ったの?ステージの上で、あなたの才能と存在感と美貌で、彼女を完全に打ち負かして踏みつけるの。学校のあの目の見えない連中に、誰が本当の女神で、誰が第四中学校の校花なのか見せつけるのよ」
石田文乃はテーブルを叩き、豪快に空を仰いで三度笑った。「安心して、このセンターポジション、私が必ずものにするわ」
曽我若菜が自分に負けて、打ちのめされた惨めな姿を想像するだけで、舞い上がるほど嬉しくなった。どうしてこんな良い方法を思いつかなかったんだろう!
「まず落ち着いて、応募用紙を持ち帰って、よく考えてから答えを教えて」と水野日幸は彼女を座らせた。一時の興奮で承諾して、後で後悔するのを心配したからだ。
石田文乃はただおしゃれが苦手で、メイクが下手なだけで、顔立ちと容姿は曽我若菜を圧倒するどころか、芸能界でもトップクラスの存在だった。