藤田清輝は「うん」と返事をした。「分かった。でも、必ず安全に気をつけてね。夜は一人で出歩かないで。あそこは人が少ないから、悪い人に会わないように。山には猛禽類もいるし、むやみに山に入らないで。やっぱりボディーガードを何人か付けようか!」
「お兄さん」水野日幸は心が温かくなり、笑いながら言った。「お母さん以上に心配性ね。安心して、手足がちゃんとついたまま、無事に帰ってくるから」
「変なこと言うなよ」藤田清輝も何故だか分からないが、心配が止まらなかった。彼女が十分な食事も睡眠も取れないのではないか、危険な目に遭うのではないかと。「何かあったらすぐに電話してくれ」
この子は何も要らないと言うばかりで、あんなに大きな空っぽの邸宅に一人で住むなんて、怖くないのかと心配だった。