第251章 股間の屈辱

水野日幸は目の端で上の模様を見て、誰の仕業かすでに分かっていたが、表情を変えることなく、彼に一瞥すら与えなかった。

「きれいでしょう!」大豆田秋白は独り言のように、もう一度彼女の目の前でそれを振り回した。彼女の極めて冷静な反応を見て、心の中の疑念は確信に変わった。

彼の予想は間違っていなかった。彼女は知っているのだ。

もし彼女が少しでも反応を示していたら、彼は疑うことはなかっただろう。

今の彼女のこの冷静な態度こそが、かえって疑念を抱かせるのだ。

この上の模様は、他でもない、まさに長谷川家の家紋だった。

曽我時助と長谷川家には、確実に恨みはなかった。彼も長谷川家を刺激することはできなかったはずだ。もし本当に刺激していたら、今頃生きてはいないだろう。

長谷川家が彼を縛り上げた理由として、彼に思い当たるのはただ一つ、この傍らにいる少女のためだ。