第251章 股間の屈辱

水野日幸は目の端で上の模様を見て、誰の仕業かすでに分かっていたが、表情を変えることなく、彼に一瞥すら与えなかった。

「きれいでしょう!」大豆田秋白は独り言のように、もう一度彼女の目の前でそれを振り回した。彼女の極めて冷静な反応を見て、心の中の疑念は確信に変わった。

彼の予想は間違っていなかった。彼女は知っているのだ。

もし彼女が少しでも反応を示していたら、彼は疑うことはなかっただろう。

今の彼女のこの冷静な態度こそが、かえって疑念を抱かせるのだ。

この上の模様は、他でもない、まさに長谷川家の家紋だった。

曽我時助と長谷川家には、確実に恨みはなかった。彼も長谷川家を刺激することはできなかったはずだ。もし本当に刺激していたら、今頃生きてはいないだろう。

長谷川家が彼を縛り上げた理由として、彼に思い当たるのはただ一つ、この傍らにいる少女のためだ。

しかし彼女は頑なに認めようとせず、彼も彼女を強制することはできなかった。

水野日幸はもちろんその模様を見たことがあった。ただし一度だけで、前回兄が彼女にくれたブラックカードにその模様があり、家紋のようなものだと推測していた。

大豆田秋白は焦っても仕方ないことを知っていた。この少女が知っていることを確認できただけでも、いずれその人物の居場所を突き止める方法は見つかるはずだ。

彼は一日や二日で人を探しているわけではない。もう少し時間がかかっても構わなかった。

しかし、この少女とあの人物は一体どんな関係なのだろうか?

曽我時助はこれほどの屈辱を受けたことがなかった。辻緒羽の下をはいずり抜けた時、体中の細胞が怒りで沸き立っているようで、目は真っ赤に充血し、その表情は怨霊のようだった。

彼らを決して許さない。今日受けた屈辱を、必ず百倍千倍にして返してやる。彼らが自分に与えた苦痛を忘れることはない。

「よく言うことを聞いたね」辻緒羽は地面に這いつくばっている曽我時助を見下ろしながら、傲慢に笑みを浮かべた。「最初からこんなに素直だったら、縛られて連れて来られることもなかったのにね」

「お前の仕業だろう!」曽我時助は凶暴な目つきで彼を睨みつけた。

昨日、水野日幸と決着をつけに行く途中で誰かに殴られて気を失い、どれくらい気を失っていたか分からないが、目が覚めた時には学校の演壇の上に放り出されていた。