辻緒羽は曽我家の怒りの視線を無視し、長い脚をテーブルの上に乗せ、スマホを取り出して水野日幸にメッセージを送った。「機内だよ。お前は?」
水野日幸:「私も機内です」
辻緒羽:「どこにいるんだ?見当たらねぇぞ」
水野日幸:「ビジネスクラスです」
辻緒羽:「デザイナー様、ダンサー様、ファーストクラスが買えないなら言ってくれよ。俺が出してやるのに」
水野日幸:「……」
辻緒羽:「まあ残念がることはないぜ。曽我家の連中がこっちにいるからな。今から会いに行くよ」
そう言うと、リュックを肩に掛け、颯爽と立ち上がった。横目で隣に座る少年を見て、思わずまた感嘆してしまう。くそ、マジで綺麗な顔してやがる。
曽我若菜は辻緒羽が立ち去る姿を見つめ、心の中で憎しみが渦巻いていた。呼吸も乱れ始めていた。