曽我時助は携帯を持って、慌ただしく外に出た。人気のない角まで行って、やっと声を潜めて「兄さん」と言った。
曽我言助の声にも明らかな動揺が混じっていた。「もう隠しきれない。どうするつもり?こんな大金、僕たち二人を売っても返せないよ。父さんもすぐに知ることになる」
曽我時助は頭が混乱し、必死に冷静さを保とうとした。目に暗い色が宿る。「兄さん、助けて、お願いだから。今は父さんに言わないで、もう一度だけ助けてくれ!」
曽我言助も自身が危うい立場だった。計画は弟が立てたが、最終決定を下したのは自分だった。「時助、賭けに勝った相手を調べたんだが、お前の学校の生徒たちだ。そこから何か手がかりを掴めるかもしれない」
曽我時助の目が突然凶暴な色を帯びた。歯を食いしばって「水野日幸のことか?あのクソ女か?」