第338章 大事にはできない

辻緒羽は彼を嘲笑うように唾を吐き、背を向けて立ち去った。

曽我時助は彼の去り際を見つめながらゆっくりと立ち上がり、その目は血のように赤く、全身から怨みと悪意が漂っていた。

もし彼が一般人なら、せいぜい共倒れを狙えばいい。オンラインギャンブルは違法だから、警察に通報すれば誰も得をしない。

でも彼はそうではない。彼は芸能人で、パブリックフィギュアだ。

彼には輝かしい未来があり、人生をここで台無しにはできない。将来、スーパースターになるはずの人間で、出雲七の脚本家の次回作の主演も待っているのだ。

一度大ブレイクすれば、芸能界というお金が転がっている場所で、借金なんて簡単に返せるはずだ。

**

インターナショナルクラスの連中は皆、お金を受け取るのを待っていた。首が伸びるほど待ち続けたが、銀行口座への入金通知は来ず、不満を漏らし始めた。