出雲絹代は恐縮したものの、彼の態度が断固としていたため、客人を一緒に行かせるしかなかった。
彼女は娘のことを一番よく分かっていた。娘は藤田家のこのお兄さんに対して何か変な感じで、まるで偏見を持っているようだった。
水野日幸は初めて社長様とスーパーに買い物に行った。藤田清義のその出で立ちと容姿では、どこに行っても輝く存在で、目立ち、まさに社長様そのもので、振り返り率は百パーセントだった。
ここは生活エリアで、通りの両側には軽食店が並び、何でも売っていた。午後五時半は、ちょうど人が多い時間帯だった。
水野日幸は分かっていた。彼が一緒についてきたのは、きっと何か目的があるはずだ。彼は何かを探ろうとしているようだった。それなら付き合ってやろうと思った。
出雲絹代は娘が次々と買い物をしていくのを見ていた。両側の軽食店の商品を全部買いたいかのように、そして買ったものを全部藤田清義に持たせていた。