第381章 口が堅いくせに心は違う

路面から少し離れたところ。

石田文乃もバイクに乗って遅れてやってきて、降りるなり駆け寄ってきた。「緒羽様、日幸、大丈夫だった?!」

辻緒羽は眉を少し上げ、気にも留めない様子で「死にはしないさ、命があったからな!」

水野日幸は笑って「緒羽様が少し怪我をしたの」

石田文乃は、これが間違いなく高木美以の仕業だと分かっていた。二人から淡々と事の経緯を聞き、廃車になった車を見て、殺気立って踵を返した。

二人は簡単に説明したが、ブレーキが壊れて、しかもレース場でのことだ。どれほど命懸けの状況だったか想像に難くない。死の淵から生還したと言っても過言ではない。

水野日幸は彼女を引き止めた。「どこに行くの?」

石田文乃は命を取りに行くような勢いで、憤慨して叫んだ。「何をするって?あの高木美以って女、ぶっ殺してやるわ!」