第382章 長期計画

藤田清明は自ら志願した。「兄さん、私が直接届けに行きます」

藤田清義は冷たい視線を送り、危険な声音で言った。「お前、勝手に出てきたことについて、まだ話が済んでいないぞ」

藤田清明は口を閉ざした。行かないなら行かないで、大したことじゃない。

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レース会場にて。

水野日幸と辻緒羽が生きているという知らせを受け、高木美以は正気を失ったかのように、車を蹴り、目の前の一団を指差して叫んだ。「役立たずども!早く探しに行きなさい!どんな手を使ってでも、連れ戻すのよ!」

辻緒羽は死んでいなかった!

強は姿を消し、探し回っても、誰も彼の行方を知らなかった。

ブレーキを壊したのは強だけが知っていた。彼女が強にやらせたのだ。強は昭人兄が最も信頼する人物で、絶対に彼女を裏切ることはないはずだった。

しかし、もし強が辻緒羽に捕まり、拷問されたら、彼女のことを白状してしまうかもしれない。そうなれば全てが終わりだ。辻緒羽は彼女を決して許さないだろう。

高木美以は考えれば考えるほど恐ろしくなった。部下たちが四散して人を探しに行くのを見てから、車に乗り込み、電話をかけた。「昭人兄、どうすればいいの?辻緒羽は私たちのことを知ってしまったわ。今日、口封じのために殺そうとしたけど、逃げられてしまって。強も姿を消したの。彼が捕まったんじゃないかと心配で」

「慌てるな、ゆっくり話せ」新田昭人の声は凶暴だった。

高木美以はこちらで起きたことを全て彼に話した。「私たちのことがバレたら、清水家も私を許さないわ。国外に逃げましょう。今すぐ日本を離れましょう」

彼女は不吉な予感がしていた。事態は予測不可能な方向に進んでいて、今逃げなければ、もう二度とチャンスはないかもしれない。

「辻緒羽が俺たちのことを知っているって確信があるのか?」新田昭人は冷笑した。「考えすぎだ。もし知っていたら、俺たちが今まで無事でいられるわけがないだろう?」

高木美以:「わからないの。でも知っていると思うの。絶対に知っているはず。昭人兄、遠くへ逃げましょう。日本を出て、誰も私たちを知らない場所で、新しい人生を始めましょう」