辻緒羽は今日、水野日幸と命を賭けた絆を結んだばかりで、これからは彼女の前で良い印象を残そうと、高潔なイメージを固めたいと思っていた。
しかし、一緒にビデオを見ていると、最初は何も違和感を感じなかったが、よく考えてみると、どこもかしこも違和感だらけだった。
「ふん」辻緒羽は軽く咳払いをして、大豆田秋白に目配せをした。誰だか分かったんだから、もうそんなにじっと見る必要はないだろう。
主演の男はこんなにブサイクで、リップクリームばかり塗っているような男なのに、何がそんなに見どころがあるのか。日幸姉の目が汚れてしまう。
彼は横目で水野日幸を見たが、彼女はいつも通り、何事もないかのように淡々とした表情で、まるで普通の映画を見ているかのようで、何を考えているのか全く読み取れなかった。