工藤沙織の演技は言うまでもなく、人気も評判も良く、素晴らしい協力相手で、最大限のウィンウィンを実現できます。
「次の脚本には、彼女に合う役がないんです。」水野日幸は少し考えてから、続けて言った。「でも、私の手元には彼女に合う大作映画があります。」
源那津は彼女の様々な才能を目の当たりにしてきたものの、やはり少し驚いた。「ドラマの脚本以外に、映画の脚本もあるの?」
水野日幸は心の中で、私には色々なものがあるけど、一度に全部出したら驚かせてしまうわ、と思いながら、うなずいて曖昧に答えた。「構想中です。大学入試まであと2ヶ月で、『国民アイドル』の収録にも参加しないといけないので、執筆の進度は少し遅くなると思います。脚本は入試後の提出になりそうです。」
彼女のスケジュールは本当に詰まりすぎていて、自分を追い詰めすぎてはいけない。彼女だって人間で、休息が必要なのだから。
「分かった。あまり無理しないでね。お金は稼ぎきれるものじゃないし、私もいるんだから。」源那津は彼女を心配そうに見つめた。
人にはどんなに大きな体力があっても、限界というものがある。彼女がこんなに体力を使い果たしていくのを見ると、彼女の健康が心配だった。
「分かってます。」水野日幸は彼を見て、明るく笑いながら、話題を変えた。「私たちの会社の前で...」
「スポーツカーを運転して、車いっぱいにデイジーを飾っていた女の子のこと?」源那津は彼女の言葉を引き継いだ。「会社の前で3日間待っていて、最初は木村有希のファンだと言っていた。木村有希が会社に来た時に個別に会って、サイン入り写真とポスターをもらったんだ。」
「次の日にまた来て、推し変したって言って、今度は城戸修のファンだって。きっとどこかのお嬢様が暇つぶしに追っかけしているんだろうね。」
水野日幸は心の中で、その通り、確かに暇つぶしに追っかけをしているお嬢様だけど、ただの誰かのお嬢様じゃないわ、と思った。「兄さん、実は彼女は藤田家の叔母さん、藤田君秋なんです。」
源那津は水を飲んでいて、思わず噴き出しそうになり、声が急に大きくなった。「何だって?」
「藤田家の叔母さん、藤田君秋だって言ったんです。」水野日幸はもう一度繰り返した。
源那津:「君は彼女を知っているの?」