「聞いたよ。写真を撮りたいの?それともサインが欲しいの?」城戸修は彼女の手からデイジーを受け取り、レコーディングスタジオの窓辺にある枯れたデイジーを取り除き、新しい花を置いて、振り返って彼女に礼儀正しく微笑んだ。「お花をありがとう」
水野日幸も驚いた。彼女はレコーディングスタジオに何度も来ていたし、城戸修のアルバム録音期間中は、彼と同様にほとんど会社で寝泊まりしていたのに、彼がデイジーを飾っているのに気付かなかった!
彼の趣味は、本当に特別だった。
藤田君秋は水野日幸を見て、少し自慢げで得意そうな表情を浮かべた。まるで「ほら見て、デイジーが好きなのよ」と言いたげだった。
「私、用事があるから、二人で話してて」水野日幸は少し呆れたが、他人の趣味なので尊重した。藤田君秋を見て「何が欲しいか、直接彼に言えばいいわ」と言った。