「彼女は、あなたに関する投稿全てにコメントして、あなたのことを田舎者の売女だとか、成績ビリだとか言ってたわ。あなたが一位を取った時も、カンニングしたって言ってたのよ!」
水野日幸はそれほど気にする様子もなく、淡々と指示を出した。「彼女のコメント全部をスクリーンショットして、証拠として保存しておいて。削除される前にね。それと、私を中傷する投稿をしているサブアカウントも全部まとめておいて」
そう言うと、彼女は手を叩いて石田文乃たちを静かにさせ、まずは彼女が指示したことを整理するよう促した。蛇を倒すなら急所を狙え、吐血するまで追い詰めるのだ。
曽我若菜がこんな真似をするなら、彼女も本気で勝負してやろう。あの分裂症のような道化師のように乱立している複数アカウントが、一体どれだけ彼女のものなのか見てやろうじゃないか。
石田文乃たちはすでにかなりの情報を集めており、水野日幸の言葉を聞くと、スクリーンショットを整理してまとめ、保存した。
水野日幸を中傷する投稿の投稿者IDも全てまとめ、水野日幸に渡した。彼女が何をするつもりなのかは聞かずとも、指示された通りに動けばいい。
石田文乃は資料を整理しながら気づいたことがあり、彼女の前に駆け寄った。「日幸、調べられる?」
水野日幸は辻緒羽を見た。
辻緒羽は軽蔑するような目つきで彼女を見て、指で額を弾いた。「バカなの?犯人を突き止めるのに、頭のない蠅みたいにやみくもに探して見つかると思ってるの?IPアドレスを調べなきゃダメでしょ!」
石田文乃は勉強が嫌いでも、それくらいは知っていた。すぐに額を叩いて、はっと気づいたように叫んだ。「くそっ、頭に来すぎて、一番大事なことを忘れてた」
国際クラスの忙しく動き回っていた一同も、この言葉を聞いて後悔の念に駆られ、こんな重要なことを忘れていたことに自分たちがバカだったと感じた。
しかし、それも怒りに任せすぎて理性も思考力も失っていたからで、ただ曽我若菜と直接対決したい一心だったのだ。
「日幸、調べられるの?」石田文乃はハッカーを探そうとしていたところだったが、水野日幸がユーザーIDを使って調査を始めるのを見て、目を輝かせ、崇拝の眼差しで彼女を見つめた。
水野日幸は「うん」と答え、謙虚に言った。「ちょっと勉強したことがあるから、試してみる」