第519章 水風船が曽我若菜の頭上に浮かんだ

このステージでは、会場に専用のホログラム投影スクリーンが設置され、練習生たちの会場内外での投票支持状況がリアルタイムで表示されていた。一分一秒ごとに票数が変動し、出演者も観客もはっきりと確認することができた。

ステージでパフォーマンスを終えたばかりの曽我若菜は、スクリーンに映し出された彼女のリアルタイムランキングと、絶え間なく増加する投票数を見て、とても満足していた。

彼女は現在7位で、6位の木下静香との差はわずか5000票ほど。数字の動きから正確に推測すると、彼女の票数の伸び率は木下静香よりも速く、そう長くない間に追い抜けるはずだった。

彼女の座を奪おうとした佐藤嫣については、すでに大きく引き離していた。票数で3万票も差をつけ、票数の伸び率も緩やかで、追いつくなど夢のまた夢だった。

彼女の視線は審査員の方向へ向けられ、水野日幸に釘付けになった。目の奥の表情は少しも変わらず、ただ彼女を見つめていた。

あの忌々しい夕子め、彼女の失敗を見たがり、躓くのを望んでいたのではないか?彼女に自分のランキングが上昇し、華々しくデビューする姿を見せつけてやる。彼女を怒らせ、そして彼女を標的にして暴露した水野日幸も怒らせてやる!

審査員たちは、この度のステージについて、それぞれ非常に高い評価を与え、最後のデビューダンスについて語る際は、皆口調も軽やかで楽しげだった。

藤原遥は気にしないようにと自分に言い聞かせていたが、やはり3ヶ月以上共に過ごした生徒、しかも大きな期待を寄せていた生徒のことだ。曽我若菜を見ると怒りを感じずにはいられず、彼女のことを残念に思うと同時に、再びステージに立つ彼女の行為に恥ずかしさを感じた。

このステージでは、最も目を引いた伊藤未央の次に、曽我若菜が間違いなく二番手だった。わずかに及ばないのが木下静香だった。

残りの4人の練習生は、全員8位以下のランクで、真剣に踊っていたものの、実力は一目瞭然で差が見て取れた。

盗作騒動がなければ、曽我若菜の実力であればセンターポジションでのデビューは確実だった。