第525章 応援するよ、彼女を追いかけて!

観客席の方で、目の良い鈴木蛍が彼女の視線の先を追うと、驚いた様子で「緒羽様、あれは一橋渓吾じゃないですか?」

映画の撮影に行ってたはずなのに、どうしてここにいるの?

へぇ、あの地味そうな人も、実はアイドルのファンだったんだ。

辻緒羽がその方向を見ると、本当に一橋渓吾だった。ステージ上の石田文乃を見て、この二人、怪しいな!

鈴木蛍は、彼がモッシュピットで人々に押されているのを見て可哀想に思った。きっと内野席のチケットが高くて買えなかったんだろう。モッシュピットの方が座席より随分安いし。腕を振りながら大声で叫んだ。「一橋渓吾!」

この辺りは国際クラスの生徒たちで、その外側も第四中学校の生徒たち。みんな同じ学校の仲間だから、彼のために場所を空けるのは簡単なことだった。