木村鷺は石田文乃が象徴的な第一位の王座を奪ったことに対して、心中穏やかではなく嫉妬するのも当然だったが、それほど気にはしていなかった。生まれつきの傲慢さが、誰も自分と競争する資格はないと信じさせ、最終的なデビューのセンターポジションは絶対に自分のものだと確信していた。
出場順序は抽選で決められ、とても公平で公正だった。石田文乃は運が良く、2番目の出場順を引き当てた。
彼女より更に運が良かったのは伊藤未央で、1番を引き当て、石田文乃と前後して入場することになった。
石田文乃は本来、伊藤未央に王座を譲るつもりだった。
伊藤未央は新人で、それまでに参加した最大の舞台は学校の学園祭程度で、歌やダンスは少しできるものの、自分の実力が他の人には及ばないことも分かっていた。
来てからは、競技のルールをすぐに把握し、言動も慎重で、何か間違いを犯すことを恐れ、王座に座る勇気などなかった。
しかし最終的には石田文乃に引っ張られて2番目の席に座り、左右を見回しながら不安な様子だった。
コスモスエンタテインメントの残りの女の子たちも遠慮することなく、出場後は前の順位に座り、90番以降を引いた山本雅子と関口柔を除いて、みな20番以内の席に座った。
石田文乃について、その場の練習生たちは一週間の付き合いで、彼女の派手な性格についてある程度耳にしていた。彼女がその位置に座っていることについて、軽蔑や嫉妬の目で見る以外は、ただ運が良く前の方の出場順を引き当てただけだと言うしかなかった。
石田文乃にはある程度の実力があり、そうでなければ練習生の中でそれほど目立つことはなかっただろう。しかし総合的な実力で言えば、曽我若菜と木村鷺も彼女に劣るところはなかった。
今朝来たばかりの伊藤未央は違った。彼女たちの一週間の時間を無駄にし、多くの人の不満を買っていたのに、今度は2番目の席に座るなんて、まるで銃口に向かって突っ込むような大胆不敵さだった。
それは準優勝の位置だ。彼女が初心者で虎を恐れない子牛なのか、それとも分を知らない愚か者なのか、判断に迷うところだった。
この時点で、既に多くの人が彼女の失態を見物しようと待ち構えていた。