木村鷺は石田文乃が象徴的な第一位の王座を奪ったことに対して、心中穏やかではなく嫉妬するのも当然だったが、それほど気にはしていなかった。生まれつきの傲慢さが、誰も自分と競争する資格はないと信じさせ、最終的なデビューのセンターポジションは絶対に自分のものだと確信していた。
出場順序は抽選で決められ、とても公平で公正だった。石田文乃は運が良く、2番目の出場順を引き当てた。
彼女より更に運が良かったのは伊藤未央で、1番を引き当て、石田文乃と前後して入場することになった。
石田文乃は本来、伊藤未央に王座を譲るつもりだった。
伊藤未央は新人で、それまでに参加した最大の舞台は学校の学園祭程度で、歌やダンスは少しできるものの、自分の実力が他の人には及ばないことも分かっていた。
来てからは、競技のルールをすぐに把握し、言動も慎重で、何か間違いを犯すことを恐れ、王座に座る勇気などなかった。