水野日幸は庭の方向をもう一度見たが、何も言わなかった。
藤田清義がどんな苦衷を抱えていようと、どれほどのプレッシャーや負担を背負っていようと、彼女にとって、彼の行動はマイナス点だった!
藤田清義と藤田清明が庭に行った後、リビングは完全に静かになり、寝室からも何の物音も聞こえなくなった。
およそ30分後。
寝室のドアが内側から開いた。
瑾智と上條千秋が並んで出てきた。
水野日幸は振り返って、彼らに微笑みかけた。目の前の二人を見て、この瞬間の感情を表現できる言葉も、二人が並んで立っているときの印象を表現できる言葉も見つからないと感じた。
あえて形容詞を探すとすれば、それは魂の調和としか言えない。二人は雰囲気も容姿も、極めて相性が良く、天が結んだ運命のペアのような印象を与えた。
この感覚は不思議で、彼女は隣にいる男性をそっと見た。私と兄は、他人の目にはどう映っているのだろうか?同じような印象なのだろうか?
あるいはいつか、彼らのように調和のとれた関係になれるのかもしれない。
藤田清明と藤田清義も前後して客間に戻ってきた。
「日幸、ありがとう」上條千秋は水野日幸の手を握り、目は酷く腫れ、声も嗄れていたが、いつもと変わらぬ優しさで言った。「私たちは先に帰るわ。お父さんとお母さんにもお礼を伝えてね。この数日間、お世話になったわ」
「どういたしまして」水野日幸は、彼女の眉目に漂っていた消えない憂いが完全に消え去ったのを見て、心から二人のことを喜んだ。「藤田奥様、瑾智叔父、おめでとうございます」
これからは、娘さえ見つかれば、家族全員が揃うのね。素晴らしいわ。この人生で私の周りで起きることは、全て良いことばかり。
でも彼女にはわからなかった。なぜ彼らの家族を見ると、心にほんの少しの酸っぱさと、ほんの少しの羨ましさを感じるのか。
瑾智は優しい眼差しで彼女を見つめた。彼は戻ってきたが、まだ娘は見つかっていない。日幸が自分の娘だったらと、どれほど願っていることか。
藤田清義はこの時、長谷川深にも丁寧な挨拶の言葉を二言三言かけた。長谷川深とお父さんの関係については、玄次のバカが、はっきりしない説明しかしなかったが、ただ関係が非常に親密だということだけは分かっていた。