その夜、出雲絹代は眠りにつくまでにどれほどの時間がかかったのかわからなかった。あれこれと考えているうちに、思いは別の方向へと向かい、水野日幸を養子に迎えてからの日々を思い返していた。赤ちゃんの頃のよちよち歩き、初めての言葉、そして成長していく様子を。
子供の成長を見守ることほど感動的で、達成感のあることはない。しかも、我が娘はこんなにも優秀だ。
誰の実の娘であろうと、彼女は永遠に自分と水野の娘であり、掌の上で大切に育てた宝物なのだ。
藤田清義は一度だけ尋ねてきただけで、その後は一切連絡してこなかった。出雲絹代も新シーズンのファッションショーの準備に忙しくなり、次第に余計な心配は頭から消えていった。
夏休みも、忙しさの中であっという間に過ぎ去った。
水野日幸は大学一年生になり、八月二十三日に入学手続きをし、その後半月間の新入生軍事訓練が待っていた。