第479話 Aクラスから追い出す

彼女、伊藤未央のことは当然知っていた。指導者たちが最も期待する潜在能力の高い練習生となり、成長の余地が大きかった。

ダンスの基礎が全くなかったのに、たった一日で主題歌のダンスを完璧に習得し、二日間で完璧に近いレベルまで踊れるようになった。

ボーカルの基礎が全くなかったのに、生まれつき素晴らしい声を持ち、音楽理論も一瞬で理解し、誰よりも早く学び、誰よりも上手く応用できた。まさに天の寵児だった。

ステージ上。

全ての照明が伊藤未央に当てられていた。

音楽が鳴り響く。

ステージ上の少女が動き出し、音楽が鳴り始めた瞬間からリズムに乗り、透き通った声、自信に満ちたダンス、若さ溢れる活力、魅力的な輝きで観客を魅了した。

この瞬間、彼女はまさにステージの支配者だった。

指導者たちは皆驚愕した。驚きと共に喜びも感じた。伊藤未央が彼らにもたらした驚きと衝撃は、非常に印象的だった。

芸能界でのキャリアが長いベテランとして、彼らは誰もが自分独自のステージスタイルを持っていることを知っていた。このようなステージスタイルは、生まれつきのものは極めて稀で、ほとんどが後になって数々のステージ経験を重ねて磨かれていくものだった。

しかし伊藤未央のステージ姿は、まるで生まれつきのようだった。この性格とステージ姿のギャップこそが最も人々を魅了するところで、普段は緊張して話すことさえできない子が、ステージに立つと全てを支配する能力を持つとは誰が想像できただろうか。

水野日幸は非常に満足していた。予想以上の満足感だった。彼女は伊藤未央の性格とステージスタイルのギャップを知っていたが、実際に見る前は、デビュー後に徐々に磨かれたものだと思っていた。

結局、彼女のファンでもなく、ただ知っているだけで、コンサートも数回しか見たことがなかったため、彼女のステージ姿が初期と後期でどう変化したのかは知らなかった。

しかし今見ると、彼女のステージ姿、ステージでのオーラは、まさにステージのために生まれてきたようだった。ステージに立ち、スポットライトを浴びるだけで、彼女は魅力を発揮できた。

番組スタッフたちも、この時には目を見開いて、信じられない様子でステージの方を見つめていた。このような強烈なギャップに、彼らも興奮を隠せなかった。