軍事訓練期間の寮は、学校のような快適さはなかった。一つのクラスを単位として、15人が一つの部屋で生活していた。
ベッドは出席番号と名前で事前に割り当てられており、基本的にクラスのメンバー全員が同じ部屋に配置され、とても賑やかだった。
しかし、クラスの誰も水野日幸に近づく勇気がなかった。彼女の冷たく人を寄せ付けない、距離を置く態度を見ただけで、誰も話しかける勇気が出なかった。
大方笑子と江川薫の二人だけは例外で、一人は上下段ベッドで、もう一人は隣のベッドで、時々彼女に話しかけていた。
「お兄さんって本当に彼女がいるの?」江川薫は好奇心旺盛で、一橋渓吾があんなにイケメンで、しかも日幸の兄だから、彼女がいないなら、素晴らしい恋愛対象だと思っていた。
誰がイケメンを好きにならないだろうか!