第637章 添い寝する人

「でも軒袁がいれば、彼らは来ないでしょう。どうやって彼らを捕まえられるの?」水野日幸は眉をひそめた。今すぐにでも犯人を捕まえたかった。どんな方法でもいい。

「しばらくは戻ってこないだろう。黒幕が馬鹿じゃなければ、何人送り込んでも無駄だと分かるはずだ」長谷川深は彼女をしっかりと抱きしめた。「明日は早く撮影現場に行かないといけないんだろう?早く寝なさい。考えすぎないで。全部あなたが解決する必要はない。僕は何のためにいると思う?」

「抱き枕」水野日幸はついに笑い声を上げ、彼の唇にキスをして、すぐに小さな頭を彼の胸に埋めた。もう一度繰り返した。「あなたは私の大きな抱き枕」

彼がそう言うなら、安心して彼に任せよう。自分も警戒を怠らないようにしよう。

長谷川深も楽しそうに笑い、囁いた。「布団暖め係!」

水野日幸は彼の胸の中でぶつぶつ言いながら、少し誇らしげに呟いた。「私は布団暖め係よ」

長谷川深は再び笑い声を上げ、その笑い声は胸から溢れ出た。彼女の頭にキスをして笑いながら言った。「おやすみ、布団暖め係」

「おやすみ、大きな抱き枕」水野日幸は彼をしっかりと抱きしめ、満足そうに目を閉じた。

その夜はぐっすりと眠れた。

翌日、まだ夜が明けない頃。

長谷川深は既に朝食を作り、保温容器に入れていた。そっと寝室に入り、まだ眠っている少女を見て、傍らにしゃがみ込んだ。起こそうとしたが、起こすのが忍びなく、最後は軽く身を屈めて、彼女の額にキスをし、小声で言った。「おはよう」

彼は重要な用事があって帰らなければならず、彼女が目覚めるのを待つことも、朝食を一緒に食べることもできなかった。

しかし、立ち上がろうとした時、少女が突然目を開けた。輝く大きな瞳には、目覚めたばかりの眠気は全くなかった。次の瞬間、柔らかな手が彼の首に回され、近づいて彼の唇にキスをした。「おはよう」

「いつ起きたの?」長谷川深の目には愛情と驚きが溢れていた。

「あなたが入ってきた時」水野日幸は再び彼の唇にキスをして、起き上がった。「お兄さん、ちょっと待って。空港まで送るわ」

長谷川深は「もっと寝ていいよ。送らなくていい」と言った。

「だめ、絶対に空港に行く」水野日幸は断固とした態度で、クローゼットから着る服を取り出し、すぐに服を脱ぎ始めた。