すぐに、誰かが来て、後片付けをし、車はゆっくりと地下駐車場から出て行った。
外では、雪がまたちらちらと降り始めていた。
寺院は警戒線で囲まれ、参拝客たちはすでに山を下りていた。
長谷川深はベージュのウールコートに着替え、もともと絶世の容姿がより一層端正になり、普段の冷たく深い印象が消え、若々しい少年のような清々しさが加わっていた。
水野日幸は彼の手を握り、すでに空っぽになった寺院を歩き回っていた。お参りの気持ちはもはやなく、ただ彼と一緒に歩いて見て回りたかっただけだった。
長谷川深は、ずっと沈んだ表情で黙っている少女を見て、彼女の手を軽く揺らしながら笑いかけた。「ここの景色はなかなかいいね」
水野日幸はうんと答え、彼の腕を押さえた。「動かないで、傷が開いちゃうから」