次の瞬間。
バンという爆発音が響いた。
横の香爐が銃弾に撃たれ、灰が飛び散り、轟音とともに倒れた。
群衆は一瞬凍りついた後、恐怖に駆られた悲鳴が出雲穹を突き破り、四方八方に逃げ散った。
水野日幸は息を呑み、鼻先に広がる血の匂いを鮮明に感じた。何か言おうとした瞬間、男に再び回転させられた。
空気の中で、銃声がパンパンと絶え間なく響き渡った。
群衆の中で、誰かが悲鳴を上げ、誰かが撃たれて倒れた。皆が必死に逃げ出そうとし、何が起きているのか誰も理解できなかった。公然の銃撃事件など、実際に経験した人はほとんどいなかった。
それはほんの一瞬の出来事だった。
銃声は一時的に響いた後、もう聞こえなくなった。
水野日幸は動こうとして、心配そうに叫んだ。「お兄さん。」
「大丈夫だ。」長谷川深は水野日幸を抱きしめ、彼女の後頭部を押さえて自分の胸に埋もれさせ、大きな手で彼女の耳を塞いだ。地獄から来たような血に飢えた冷酷な眼差しで、遠くを見つめた。