鈴木和香と我孫子プロデューサーは些細なことについて話していたが、話が進むにつれて、我孫子プロデューサーは突然和香の電話番号を尋ねてきた。今後の協力のために連絡先を交換しておきたいとのことだった。
和香は特に違和感を感じることなく、自分の電話番号を教えた。
二人はお互いの電話番号を保存し終えると、我孫子プロデューサーは携帯をしまい、「和香さん、この後用事があるので、先に失礼します」と言った。
和香は急いで我孫子プロデューサーのために車のドアを開け、彼が乗り込んだ後にドアを閉めた。車の中の我孫子プロデューサーに手を振りながら、笑顔で「我孫子さん、さようなら」と言った。
我孫子プロデューサーも和香に手を振り返すと、車は発進した。
和香は車が少し離れていくのを見届けてから、やっと表情を緩めた。そして馬場萌子がまだ来ていないことに気づき、携帯で萌子に電話をかけながら、あたりを見回して萌子が来ているかどうかを確認しようとした。