第44章 自分に面倒を招くのが怖い(8)

鈴木和香は電話の「ツーツーツー」という音を聞きながら、しばらくしてやっと来栖季雄が残した「1001」が彼の部屋番号だと気づいた。

彼が部屋番号を教えたのは何のため?今すぐ台本を持ってくるようにという意味だろうか?

鈴木和香はあれこれ考えた末、それしかないだろうと思い、馬場萌子に適当な言い訳をして、台本を持って部屋を出た。

1001号室はホテルの最上階にある大統領スイートだった。

鈴木和香はエレベーターの中で、上がっていく赤い数字を見つめながら、心臓が徐々に早くなるのを感じた。

ついに最上階に到着し、エレベーターのドアが開くと、鈴木和香は深く息を吸い、台本を抱えて出た。

ホテルの廊下の矢印に従って、1001号室がある方向へ向かった。

途中、最上階のスタッフ休憩室を通りかかった。ドアが開いていて、中では二人の女性従業員が小声で話していた。