第227章 疑われた深い愛(15)

林夏音は松本雫のことが嫌いで、最初は彼女と張り合おうとしましたが、松本雫という人物は不思議な存在でした。芸能界で清廉潔白を装っているようでしたが、良い仕事は全て彼女のものになり、バックがないようには見えませんでした。しかし、バックがあるとしても、これほど長い間、その痕跡すら見せていませんでした。

芸能界では松本雫を百年に一人の天才女優と呼んでいて、林夏音はどう頑張っても松本雫には及びませんでした。結局、諦めることにしました。

松本雫を除けば、この八年間、林夏音は小手先の手段を駆使し続け、男性芸能人との噂を立てて注目を集めたり、自分にとって脅威となる女優を潰したりと、とにかく順調に芸能界を渡り歩いてきました。しかし、鈴木和香に『傾城の恋』の女二号の役を奪われてから、不運が続くようになりました。