我孫子プロデューサーは明らかに誰かと電話をしていた。林夏音は後半の内容を聞いて、寝室を開けようとした手を止めた。
我孫子プロデューサーは鈴木和香に興味があるのか……
彼女は一生懸命に彼の機嫌を取ってきたのに、何の得もなかった。もし鈴木和香なら、きっと何でも与えてもらえるだろう。
この業界では、利益を得るために自分の友人を裏切って寝取られの餌食にする人もいる。鈴木和香は林夏音が最も嫌う女だ。彼女を利用して利益が得られるなら、やらない手はない。
林夏音は唇の端に冷笑を浮かべ、我孫子プロデューサーの部屋には現れず、静かに立ち去った。そして、どうやって鈴木和香を我孫子プロデューサーのベッドに送り込み、彼の寵愛を得て、自分の望む利益を手に入れるか考え始めた。
ブランコ事件の教訓から、林夏音は今回の計画を来栖季雄が不在の時を狙って実行することにした。