第267章 あなたへの誕生日プレゼント(7)

「世界にとってあなたはたった一人の人間だけど、私にとってあなたは世界のすべて」

「生きている限り、私はあなたを一番愛しています」

鈴木和香の言葉が終わってから長い時間が経ち、椎名佳樹の声が響いた。「和香……」

椎名佳樹はただ名前を呼んだだけで、録音の中で再び沈黙が続いた。長い間の沈黙の後、椎名佳樹の声が再び響き、真剣で感情的に聞こえた。「生きている限り、私はあなただけを愛します」

そして録音は完全に静かになった。

オフィス全体も静まり返っていた。来栖季雄は録音機を手に取った時の姿勢のまま、長い間動かなかった。

彼の表情は冷ややかで、悲しみも喜びも読み取れず、目を一瞬も離さずにその録音機をじっと見つめていた。

まるで神の手によって作られた精巧な彫像のようだった。

来栖季雄は自分がどれくらいの時間座っていたのか分からなかった。オフィスのドアをノックする音が聞こえるまで、彼はゆっくりと頭を上げ、閉じられたオフィスのドアを見つめた。唇が動いたが、声は出なかった。喉を強く鳴らし、録音機を強く握りしめ、やっと落ち着いた声で「入れ」と言った。