第266章 あなたへの誕生日プレゼント(6)

「しかし、来栖社長、これは先ほど洗車の際に、スタッフがお車の後部座席で見つけたものです」

このボイスレコーダーは鈴木夏美か鈴木和香のものに違いない……来栖季雄は眉間にしわを寄せ、足を止めると、助手の手からボイスレコーダーを取り上げ、エレベーターへと歩き出した。

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環映メディアに戻ると、来栖季雄のデスクには緊急の書類が山積みになっており、それらを処理し終えたときには午後四時半になっていた。

来栖季雄は手を上げ、疲れた眉間をさすりながら、だらしなくオフィスチェアに寄りかかった。約五分ほど静かに座っていたかと思うと、姿勢を正し、ついでにパソコンの電源を入れようとした時、デスクに置いていたボイスレコーダーが目に入った。

来栖季雄は少し躊躇した後、パソコンのパスワードを入力するのを止め、そのボイスレコーダーを手に取った。