第271章 あなたへの誕生日プレゼント(11)

「夏美、どうしたの?」田中大翔は鈴木夏美の隣で寝ていたが、彼女に起こされ、少し戸惑いながら起き上がり、心配そうに尋ねた。

鈴木夏美は田中大翔を見つめ、今のは単なる夢だったと気づき、ほっと胸を撫で下ろした。手を伸ばして自ら彼の腰に腕を回し、顔を彼の胸に埋めながら小声で言った。「大丈夫、ただ悪夢を見ただけ」

田中大翔は鈴木夏美を抱きしめ、快適な姿勢で横たわり、手で彼女の背中を優しく撫でながら言った。「もう寝なさい。怖がることはない。僕がいるから」

鈴木夏美は何も言わなかったが、田中大翔の腰をより強く抱きしめた。

夜の闇の中、再び静けさが戻り、鈴木夏美は田中大翔が自分の背中を撫でる力が徐々に弱まっていくのを感じた。彼の呼吸が規則正しく長くなり、彼が深く眠りについたことを知った。しかし、彼女には少しも眠気がなかった。