朝、来栖季雄が目を覚ました時、鈴木和香はまだ眠っていた。彼は彼女を起こさないように、静かに身支度を整え、会社へ向かう準備をした。
寝室を出る時、ベッドでぐっすり眠っている鈴木和香を見つめ、少し考えてから、ゆっくりと戻って行き、彼女の寝顔をしばらく見つめた後、身を屈めて眉間に軽くキスをし、布団を掛け直してから寝室を出た。
来栖季雄が車のキーを探した時、朝に自分がポケットに入れておいた箱に触れた。車に乗り込んでから、少し躊躇したものの、やはり鈴木和香からもらったネクタイピンを箱から取り出し、バックミラーを見ながらネクタイに付け、満足げに車を発進させた。
鈴木和香が目を覚ましたのは、昼の11時近くだった。昨夜遅くまで起きていたせいで、まだ眠かったので、一度目を開けただけで、布団にくるまってまた眠ろうとした。しかし、目を閉じて30秒ほど経った時、今日の予定を思い出し、ベッドから飛び起きた。