第287章 失望させてしまったの?(7)

来栖季雄は考え込んでいるうちに、ふと立ち上がった。

来栖季雄と鈴木和香が人混みの宴会場を離れる時、新婚夫婦らしく見せるため、ずっと手を繋いで歩き、隅のソファに座った後も、来栖季雄は目を閉じて休んでいる間も和香の手を離さなかった。鈴木和香は来栖季雄の顔をじっと見つめることに夢中で、自分の手が彼に握られていることも忘れていた。そんな時、来栖季雄が突然立ち上がったため、和香の腕が引っ張り上げられ、空想から現実に引き戻された。

鈴木和香は少し困惑して瞬きをし、来栖季雄から不機嫌な雰囲気が漂っているのを感じ取り、ソファから立ち上がって思わず口を開いた。「来栖...」

彼女が半音も発する前に誰かが近づいてきたのを見て、すぐに言い直した。「佳樹兄、どうしたの?」

鈴木和香の「来栖」という言葉は完全には聞こえず、宴会場の喧騒の中で、来栖季雄は彼女の後半の言葉だけを聞いた。