鈴木家の人が掃除をしたのだろう。ゴミ箱には様々な贈り物の箱や空き瓶、果物の皮が山積みになっていた。その中で、彼の視線は一点に鋭く注がれた。花束と未開封の白鳥ケーキ屋のケーキの包装が捨てられていたのだ。透明な包装越しに中のケーキが見え、それは投げ捨てられて形が崩れていた。朝に彼が受け取った時はまだ艶やかだった花々は、花びらを散らし、一部は踏みつぶされていた。金箔の施されたカードは二つに引き裂かれ、無造作に惨めな花の上に投げ捨てられていた。
その瞬間、まるで経穴を押さえられたかのように、その場に立ち尽くし、一寸も動けなくなった。心の中の喜びと想像していた幸せは、まるで煙のように消え去り、代わりに誰かに頬を強く打たれたような痛みが残った。
彼はしばらくその場に立ち尽くした後、やっと一歩を踏み出し、しゃがんで花束を拾い上げた。