それは和香が奈良へ行き、彼と同じ部屋で二ヶ月を過ごした後のある夜のことだった。
その夜、彼と彼女の徐々に近づいていた関係は、次第に遠ざかり、最後にはほとんど接点がなくなってしまった。
今日に至るまで、あれから五年以上が経過したが、真夜中に目覚めると、その夜のことを思い出すたびに、胸が痛んで目が覚める。
その夜はゴールデン映画祭の年に一度の授賞式で、彼は全国で大ヒットした『永遠に君を失った』で助演男優賞にノミネートされ、その夜は彼のキャリアが頂点に向かう出発点となり、その夜はまた鈴木和香の二十一歳の誕生日でもあった。
例年、和香の誕生日には、どんなに忙しくても東京に来て祝ってあげていた。
もし選択できるなら、その年も東京で彼女の誕生日を祝いたかった。
しかし彼は大阪のゴールデン映画祭に出席しなければならなかった。それは彼の将来の芸能活動の発展に関わることで、もしその夜本当に助演男優賞のトロフィーを手に入れることができれば、これからは本当に成功への道が開けるはずだった。
丸四年間も努力してきたのは、ただこの日のためだった。自分をもっと良く、もっと力のある人間にして、彼女に世界で最高のものを与えられるようになるために。
そういうわけで、最終的に彼は大泉撮影所から大阪へ向かった。
ただし、飛行機に乗る前に、自分のアシスタントを東京に行かせ、和香に特別な誕生日プレゼントを二つ届けさせた。一つは彼女が毎年の誕生日に注文するのを好む白鳥ケーキ屋のケーキ、もう一つはフランスからその朝空輸されたばかりの花束で、花束には一枚のカードが添えられていた。そこには彼の直筆で一行が書かれていた:「君のいる季雄の人生こそが、安らかだ」
実際、その夜は最初とても楽しく過ごせていた。なぜなら、ゴールデン映画祭の助演男優賞が本当に彼のものとなったからだ。万人の注目を集める中、クリスタルのトロフィーを手にし、メディアや同業者からの熱烈な拍手に包まれた瞬間、彼は興奮と感動で胸が一杯だった。
ゴールデン映画祭は夜八時に終わり、和香の誕生日まではまだ四時間あった。彼は後の宴会には参加せず、その夜はトロフィーを抱えたまま、礼服も着替えずに、そのまま飛行機に乗って東京に戻った。