それは和香が奈良へ行き、彼と同じ部屋で二ヶ月を過ごした後のある夜のことだった。
その夜、彼と彼女の徐々に近づいていた関係は、次第に遠ざかり、最後にはほとんど接点がなくなってしまった。
今日に至るまで、あれから五年以上が経過したが、真夜中に目覚めると、その夜のことを思い出すたびに、胸が痛んで目が覚める。
その夜はゴールデン映画祭の年に一度の授賞式で、彼は全国で大ヒットした『永遠に君を失った』で助演男優賞にノミネートされ、その夜は彼のキャリアが頂点に向かう出発点となり、その夜はまた鈴木和香の二十一歳の誕生日でもあった。
例年、和香の誕生日には、どんなに忙しくても東京に来て祝ってあげていた。
もし選択できるなら、その年も東京で彼女の誕生日を祝いたかった。
しかし彼は大阪のゴールデン映画祭に出席しなければならなかった。それは彼の将来の芸能活動の発展に関わることで、もしその夜本当に助演男優賞のトロフィーを手に入れることができれば、これからは本当に成功への道が開けるはずだった。