来栖季雄は鈴木和香をしばらく見つめていたが、反応がないので三度目に声をかけた。「プレゼント、開けないの?」
鈴木和香は我に返り、すぐに手を伸ばして来栖季雄から紙袋を受け取った。急いで紙袋を開け、中に丁寧に包装された贈り物の箱を見つけると、頭を上げて愛らしく尋ねた。「何のプレゼントなの?」
「誰かさんが言っていたよね。プレゼントは中身を知らないで開けた方が、サプライズがあって楽しいって」これは以前、彼の誕生日に彼女がプレゼントを渡す時に言った言葉だった。
まさか自分の言葉で返されるとは...鈴木和香は少し口を尖らせ、繊細な指先で箱の包装を解き始めた。
来栖季雄は鈴木和香の口を尖らせる仕草を見逃さなかった。心が柔らかくなり、彼女の長い髪を撫でたい衝動に駆られた。
鈴木和香は細心の注意を払ってプレゼントを開け、最後に中の赤い箱が姿を現した。