第358章 2つの「愛してる」(14)

来栖季雄は鈴木和香をしばらく見つめていたが、反応がないので三度目に声をかけた。「プレゼント、開けないの?」

鈴木和香は我に返り、すぐに手を伸ばして来栖季雄から紙袋を受け取った。急いで紙袋を開け、中に丁寧に包装された贈り物の箱を見つけると、頭を上げて愛らしく尋ねた。「何のプレゼントなの?」

「誰かさんが言っていたよね。プレゼントは中身を知らないで開けた方が、サプライズがあって楽しいって」これは以前、彼の誕生日に彼女がプレゼントを渡す時に言った言葉だった。

まさか自分の言葉で返されるとは...鈴木和香は少し口を尖らせ、繊細な指先で箱の包装を解き始めた。

来栖季雄は鈴木和香の口を尖らせる仕草を見逃さなかった。心が柔らかくなり、彼女の長い髪を撫でたい衝動に駆られた。

鈴木和香は細心の注意を払ってプレゼントを開け、最後に中の赤い箱が姿を現した。

来栖季雄は突然緊張し始めた。何年も前、彼女のために用意した誕生日プレゼントがゴミ箱に捨てられた光景を思い出していた。

来栖季雄の手は、静かに拳を握りしめていた。

鈴木和香は箱を開け、中に陶器人形が入っているのを見た。

その陶器人形は先日、環映メディア株式会社のデザイナーが彼女の肖像画を基に、特別にデザインしたQバージョンの図案だった。

彼女は、来栖季雄がそのQバージョンの図案を可愛らしい陶器人形にしてくれるとは思わなかった。鈴木和香の目は喜びで輝き、来栖季雄に「ありがとう」と言った。

鈴木和香のこのような反応を見て、来栖季雄の心は少し落ち着いたが、それでも確認を求めるように「気に入った?」と尋ねた。

「うん!」鈴木和香は躊躇なく答えた。彼からのものなら、何でも好きだった。

来栖季雄は鈴木和香の目に確信の色を見て取り、長い間緊張していた心がようやく落ち着いた。

別れていた五年間、彼は常に彼女の誕生日を携帯にリマインダーとして設定していた。

他人同然の関係になってしまったため、この五年間、彼女の誕生日には毎年プレゼントを用意していた。裕福になるにつれてプレゼントはより高級なものになっていったが、もう直接渡すことはできなかった。人を介して渡すことはできたが、五年前のプレゼントのようにゴミ箱に捨てられることを恐れ、結局送らないことにしていた。