第357章 2つの「愛してる」(13)

彼らは無言のまま30秒ほど見つめ合っただけだったが、心の中では今まで言えなかった言葉を語り合っていた。

シンプルな三文字、「愛してる」。史上最も直接的な告白。とても心地よく、でもとても重い言葉。

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明日の午後には撮影現場に戻らなければならないため、11時40分になると、みんな次々と解散していった。

発表会に来た時、鈴木和香は来栖季雄の車に乗ってきたので、終わりの時、来栖季雄は和香に「ちょっと待っていて、送るから」と言い残して、フロントで会計を済ませに行った。

何人かが少し飲みすぎていたので、和香は手伝って、彼らを車に乗せ、それぞれの車が去っていくのを見送ってから、豪華な金色宮のホールに戻った。

来栖季雄は煌びやかな照明に照らされたフロントで、身を屈めてサインをしていた。