第360章 2つの「愛してる」(16)

鈴木和香はちょうどコメントを見終わったところで、来栖季雄の返信した二文字を見つけ、思わず口元が緩んだ。

彼女はウェイボーで来栖季雄に返信はしなかったが、目は時々隣の来栖季雄を見つめていた。

車内の二人は、会話こそなかったものの、雰囲気は格別に温かかった。

古めかしいカラオケ店の前を通り過ぎた時、鈴木和香は高校一年生の頃から来栖季雄と親しくなり始め、毎年誕生日にプレゼントをもらっていたことを思い出した。大学四年生で卒業するまでは。それ以降、彼からのプレゼントは途絶えた。

その頃から、彼と彼女の関係は次第に疎遠になっていった。

高校生の頃、このカラオケ店でクラスメートを何度も招待したものだった。

そのカラオケ店を通り過ぎてしばらくして、鈴木和香は来栖季雄の方を向いて言った。「私の誕生日を覚えていてくれるなんて、もう忘れられたと思っていたわ」

来栖季雄は真っ直ぐ前方の道路を見つめていた。窓の外のネオンが彼の顔を照らし、表情が少しぼやけて見えた。約5秒の沈黙の後、彼は答えた。「一度も忘れたことはない」

彼女の誕生日、母の誕生日、母の命日。これらは彼にとってここ数年で最も大切な三つの日であり、一度も忘れたことはなかった。

鈴木和香の心が小さく震えた。そして言い表せない緊張感が湧き上がってきた。彼女は息を止めて、何かを確かめるように尋ねた。「ずっと私の誕生日を覚えていてくれたの?」

「7年間も誕生日を祝ってきたんだ。忘れるわけがないだろう?」来栖季雄がそう言った時、その声色には何とも言えない哀愁が漂っていた。

彼女の青春時代の誕生日。彼が贈ったプレゼントは、どれも目立たないものだったが、毎年必ず彼女と一緒に過ごした。

高校一年から大学一年まで、丸7年間。その7年間は、彼が彼女を愛するために最も懸命に努力した歳月だった。

7年?

この言葉は一瞬にして、鈴木和香に青春時代の、彼を一途に愛していた日々を思い出させた。彼からもらった一つ一つのプレゼントを、この世で最も貴重な宝物のように大切にしまっていた。

鈴木和香は突然眉をひそめた。おかしい、以前もらったプレゼントは6つだけのはずなのに、なぜ7年と言うのだろう?今年のを含めてということ?

鈴木和香が来栖季雄に尋ねようとした時、突然携帯が鳴り出した。

見知らぬ番号からだった。