第360章 2つの「愛してる」(16)

鈴木和香はちょうどコメントを見終わったところで、来栖季雄の返信した二文字を見つけ、思わず口元が緩んだ。

彼女はウェイボーで来栖季雄に返信はしなかったが、目は時々隣の来栖季雄を見つめていた。

車内の二人は、会話こそなかったものの、雰囲気は格別に温かかった。

古めかしいカラオケ店の前を通り過ぎた時、鈴木和香は高校一年生の頃から来栖季雄と親しくなり始め、毎年誕生日にプレゼントをもらっていたことを思い出した。大学四年生で卒業するまでは。それ以降、彼からのプレゼントは途絶えた。

その頃から、彼と彼女の関係は次第に疎遠になっていった。

高校生の頃、このカラオケ店でクラスメートを何度も招待したものだった。

そのカラオケ店を通り過ぎてしばらくして、鈴木和香は来栖季雄の方を向いて言った。「私の誕生日を覚えていてくれるなんて、もう忘れられたと思っていたわ」